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土壌病害(青枯病)について

土壌病害(青枯病)について

土壌中に潜んでいる病原(病気の原因)によって作物が病気になる事を『土壌病害』と言います。
土壌病害を引き起こす病原は、ウイルス、細菌、糸状菌(カビ)など色々ありますが、今回は多くの方を悩ませている青枯病についてご紹介したいと思います。

【青枯病とは】

青枯病の原因となる青枯病菌は、Ralstonia solanacearum(ラルストニア・ソラナセアラム)という細菌で、罹病植物中や土壌中に存在しています。
青枯病菌は土壌中で数年生存できることが知られており、また地下1mの深さにも生息している為、防除法として一般的に用いられている土壌消毒や輪作では根絶させる事が難しい病原菌です。
 青枯病菌に感染したトマトやナスは、はじめに葉の一部が日中にしおれ、夜間には回復するという症状が表れます。その後、株全体が緑色のまま急激にしおれて、最後には枯死してしまいます。

青枯病の病徴が現れたトマト

土壌中に生息している青枯病菌は、植物の根の傷口から侵入します。
植物の根は、定植や管理作業、土壌センチュウによる食害、側根が発生する際の亀裂など様々な要因によって傷が生じる為、傷口からの侵入を防ぐことは非常に困難です。
 また、青枯病菌は罹病株にも生息している為、病気になった植物を処理したハサミ等を介して、健康な植物に病気を広げてしまう恐れもある為、注意が必要です。
 植物中に侵入した青枯病菌は維管束内で増幅し、道管を詰まらせて水の通りを悪くします。また、青枯病の発病は地中温度も関係しており、地中の温度が20℃を超えると発病がはじまり、25~37℃まで高まると症状が顕著になってきます。

 青枯病菌には多様性があり、トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ、ショウガ、バナナなど200種以上の植物への感染が確認されています。これらの多様性について、“宿主との親和性”や“DNA情報”など様々な方法によって分類分けが行われています。

宿主との親和性に基づいた分類分け(レース)
宿主との親和性の違いにより5つのレースに分かれている。

【青枯病の検査方法】

青枯病の検査には、様々な方法が開発されており、最も簡単に行う事ができる方法が、切断した茎を水に浸す簡易検査です。
罹病株の場合、茎の切断面を水に浸すと乳白色の菌泥が流れ出るので、その有無を確認する事で簡易検査を行う事ができます。
 また、青枯病検査用のイムノストリップなども市販されております。
イムノストリップでの検査は、罹病株の葉をすり潰した抽出袋にイムノストリップを挿入するだけで、30分以内に判定を行う事が可能です。

イムノストリップを用いて検査した例
(テストラインに印があると陽性)

簡易検査やイムノストリップを用いた検査は、簡単な操作で検査を行う事ができますが、検査には植物を用いる必要がある為、作物の栽培中しか検査を行う事ができません。
 しかしながら実際の現場では、定植前の土壌に対して、青枯病発生の恐れがあるかどうかを知るための予防的な検査を望まれる事も多いと思います。
 そのような場合は、土壌からも検査が行える培養検査や遺伝子検査がお薦めです。

 遺伝子検査では、青枯病菌特異的なDNA領域を増幅し、青枯病菌の有無を判定します。
土壌中の菌からも迅速・高感度に検査を行う事が可能なので、特にお薦めの検査方法です。

ニッポンジーン マテリアルの「青枯病菌検査サービス」 は、国内で開発されたLAMP法というDNA増幅技術を用いた遺伝子検査法です。(本検査方法にて、トマトまたはショウガに感染する青枯病菌の標準株をそれぞれ検出できる事を確認しております。)

【青枯病の防除方法】

 青枯病の一般的な防除方法には、輪作や排水対策があります。
青枯病菌は水と一緒に移動するので、圃場の排水対策は重要な防除方法の1つと言えます。

 現在、最も有効な防除方法とされているのが抵抗性株の利用です。トマトでは、青枯病抵抗性台木(Bバリアなど)を用いた接ぎ木がよく行われています。
一般的な接ぎ木は、子葉上部で接ぎ木をおこないますが、第2、3葉上部で接ぎ木を行う高接ぎ木という方法も開発されました。高接ぎ木は、青枯病菌が地上部へ移動するのに時間が掛かり、一般的な接ぎ木より発病を遅らせることができるので、防除方法として注目されています。

 この他にも、太陽熱や土壌くん蒸剤などを用いて土壌中の青枯病菌を消毒する土壌消毒が行われる事もあります。但し、青枯病菌は地中深く生存している場合があり、十分な消毒効果が得られない事もある為、抵抗性株の利用等と組み合わせて防除される事が多いです。

 このように、青枯病を防除する方法は色々とありますが、圃場に適した防除方法を選択する際に役立つガイドラインとして『ヘソディム』があります。
 ヘソディム(HeSoDiM:Health checkup based Soil-borne Disease Management)とは、ヒトの健康診断のように畑の健康診断を行い、その結果に基づいて対処する土壌病害管理技術で、農業環境技術研究所よりマニュアルが公開されています。
 その中の「トマト青枯病の次世代土壌病害診断」 では、発病履歴・病原菌の生息深度・土質などから総合リスクを評価し、リスクレベルにあった防除対策を行っていますので、気になる方はご参考にされてはいかがでしょうか。

その際にネックとなるのが病原菌の生息状況の確認ですが、 ニッポンジーン マテリアルの「青枯病菌検査サービス」 では、お送り頂いた圃場の土から青枯病菌の有無を確認いたします。(但し、菌密度測定は行っておりません)
 例えば、検土杖などを用いて土壌深度の異なる検体をお送り頂ければ、深度別に青枯病菌の生息を確認する事もできるので、こちらのサービスも是非ご活用ください。

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青枯病菌検査検査サービス