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金山社長に聞く!ニッポンジーンの植物病検査キット

植物病検査キットについて

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ヒトの体質を調べる遺伝子検査キットの広がりによって、「遺伝子検査」が身近な存在になってきました。また、最近では、がんゲノム医療など本格的な医療分野でも遺伝子検査が用いられるようになってきました。そんな中、株式会社ニッポンジーンは、世界的にみても珍しい取り組みである植物をターゲットにした植物病の遺伝子検査キットの開発・製造を行っています。今回は、金山晋治 ニッポンジーン代表取締役社長に「植物病検査キット」の特長や展望などを聞きました。

— なぜ植物病の検査キットを手掛けるようになったのですか?

愛知県農業総合試験場からトマト黄化葉巻病の製品化というお話を頂いたのがきっかけです。この時点でニッポンジーンは等温増幅法でございますLAMP法という技術について研究をしておりました。
LAMP法を用いて遺伝子組換えトウモロコシの検査キットをすでに開発して製品化しておりました。
ただ、トマト黄化葉巻病診断キットにつきましては、私たちからすると初めて植物病の領域に入っていくことになり、得意とは言えない領域でしたので躊躇いたしましたが、しばらく考えた上で「やってみよう!」ということで製品化いたしました。
製品化したところ比較的評判が良くて、農業新聞にも広告を出したということもございまして、色々な所からお問い合わせを頂くようになり、これは私たちもこの植物病にもう少し力を入れて行った方が良いのではないかと考え始めた次第です。

地球上で生産可能な作物の12%、8億人の食料に相当するものが毎年植物病で失われていると言われております。地球温暖化で、あるいは経済のグローバル化で人や物が移動するだけでなく、植物病も移動するということで、どんどん世界的に植物病が広がっていると言われております。ニッポンジーンとしてはそのような状況を解決するために、世界的な課題の解決に貢献をしたいと考えておりまして、植物病検査診断でチャレンジしてみようと考えたわけです。
植物病の抑止、植物保護というのは世界的な課題になっております。私どもの得意な技術を生かしてこの課題に挑戦することで世の中に貢献したいと思った次第です。

植物病検査キットの第1弾
「トマト黄化葉巻病診断キット」

—色々な研究機関と検査キットの共同開発を行っていますね

私たちは、大学などの研究室に研究用の試薬やキットを製造して供給するということからスタートした会社です。そういう点で、遺伝子に関係する技術や、その技術を使ったキットに必要な酵素や試薬などのコンポーネントを作ることは得意としております。
しかしながら、植物病に関しては、私たちは得意ではございませんので専門家あるいは専門機関から色々とアドバイスをして頂いて製品を作るということが多くなっております 。
植物病の検査キットを提供し始めまして、植物病の研究をされておられる研究者から色々お声がけしていただくことも増えてまいりました。そういうことで、共同研究や共同開発として製品化をすることが多くなってまいりました。

共同開発された植物病検査キット

それと、植物の病気の診断・治療・予防を目的とした、「植物病院構想」というものがございます。東京大学名誉教授の難波成任先生が提唱されておられます。
この構想に共感しサポートしたいと考えまして、2014年に東京大学に植物医科学講座の寄付講座が設立されておられますがそこに参画させていただいております 。
植物病院については各地に設立されてきています。社会インフラとして整備されてきているように思います。

—ニッポンジーンの植物病検査キットの特長は何ですか?

私たちの植物病検査キットの特長は「その場で簡単に検査ができる」ということです 。
遺伝子検査というと非常に難しい技術で高価な装置を使わなければいけないのではないかというイメージがありますが、私たちのキットは非常に簡単に使用できます。私たちは定温で遺伝子を増幅するというLAMP法というものを使っておりますので、実際の検査は魔法瓶を使って行うこともできます。検査も色が変わるかどうかということで判断することができますので非常に簡単です。
病気の原因であるウイルスや菌が含まれていると緑色になりますが、含まれていないと色は変わりません。

お湯を入れた
魔法瓶でも検査ができる

結果の判定が非常に簡単

マツの病気を検査する
「マツ材線虫病診断キット」

—ユーザーからの反響はどうですか?

誰でも簡単に短時間に結果が出せるので、喜ばれているのではないかと思います。
数年前から、松を保護する松保護士さんの講習会に呼ばれて実演をさせて頂くようになりました。

私たちの植物病検査キットは、皆さんがご存知の身近な植物病、法律で防除が必要になってくるような植物病、世界で猛威を振るっているような植物病もカバーしております。
例えばファイトプラズマ病という植物病があります。
日本ではあまり馴染みのない植物病ですが世界ではいろんな被害を与えております。
サトウキビ、ココヤシ、キャッサバ、バナナなどが大きな被害を受けております。ニッポンジーンでは、このファイトプラズマの診断キットも製品化をしております。
このファイトプラズマ病診断キットは国際学会でも発表しておりますので、世界中の国々から問い合わせを受けております。東南アジア、タイ、欧州の国々、北米、南米、ヨーロッパ、最近は中東やアフリカからも問い合わせがありまして私たちのキットを使ってみていただいているところです。

世界各国で私たちのキットを使って頂くうちに、発展途上国では輸送や保管が大変であるということで、乾燥試薬が必要であるということが分かってまいりました。それで乾燥試薬を開発いたしました。
この乾燥試薬を用いると、ドライアイスで輸送したり、冷蔵庫で保存したりする必要がなくなりますので、色々な所で使って頂きやすくなるわけです。
まだ数種のキットしか乾燥化はできておりませんが、これから乾燥キットを増やしていきたいと考えております。
世界の課題を解決するということにチャレンジすると申し上げましたが、少しずつ手応えを感じてきているところであります。

ファイトプラズマに感染して枯死したココヤシ

「ファイトプラズマユニバーサル検出キット」
乾燥遺伝子検査キット

—植物病検査に対する今後の展開は何ですか?

検査キットだけではなく、検査サービスも手掛けていきたいと考えております。
短時間で簡単に検査できるとは言いましたが、農業をされる皆さんが検査する時間を見つけるのはそう簡単ではないと思います。
そういう場合に、私たちの検査サービスを利用していただければと考えております。
人の場合は、病院で診断を受ける時にその検体を検査センターに送って検査していただくということもございます。
先ほど申し上げました「植物病院構想」というのがございますが、植物病院で検査する場合に植物病院の検査センターになりたいと思っています。

金山社長

今後の展開について話す
金山社長

また、土壌検査にも力を入れていきたいと考えております。私たちの子会社でありますニッポンジーンマテリアルでは根こぶ病の菌密度測定サービスというものを行っております。
農業の基本は土作りと言われますが、種まきや定植の前に土壌中の植物病のリスクが分かれば 農家の皆さんも安心できると思います。
根こぶ病だけではなく、土壌線虫病や青枯病などにもこの土壌サービスを広げていきたいと考えております。

最近IT技術が色々なところで応用されておりますし、ITの関係者の皆さんとお話をさせていただくような機会も増えております。
スマート農業という言葉もございます。私たちもIT技術と組み合わせた検査技術・検査装置・検査システムの開発を進めていきたいと考えております。
例えば、今ニッポンジーンでは、ジビエ関連のプロジェクトを行っておりますが、スマホやタブレットのようなモバイルからのアプリで動く小型の検査装置も開発をしております。
このような技術を、スマート農業にも活かせるのではないかと思います。

小型の等温増幅蛍光測定装置「NiGii8」
本製品は、農研機構生研支援センター「生産性革命に向けた革新的技術開発事業」の支援を受けて開発を進めています。